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海以外の仕事のことなど

このホームページは海系の仕事のご報告がメインなので、医療系や映画系の仕事は、余禄として、トップページのTopicsに書いていました。でも、そうすると、海ライター/海洋ジャーナリストのホームページなのにトップの印象が違ってしまう。そこで今日は、奥まったブログページに書きます。

 

芸術の秋だから、というわけでもなく、私は年中、映画を見ています。そして書きためた感想メモは、数えていませんが500本ぐらいあると思います。

 

昔から好きで、家で時間ができれば本を読むか何かを書いているか映画を見ている気がします。就職活動で悩んだ時期に「普段あなたが最も時間を割いてやっていることは何? それを見つめれば、自ずと答えは出ます……」というような助言を何かで読み、なるほど!と思いました。結果的に好きなことを仕事にできています。

 

名刺に「海洋ジャーナリスト」とか「海ライター」(こちらはフェイドアウト予定)と刷っている通り、海のことを学び続けて正しい知識に基づく記事を書ける人としてブラッシュアップしていくのが大目標ですが、仕事というのは縁ものですから、継続案件は海に限りません。

 

 

 

その一つが映画。主にソーシャル系のドキュメンタリーをウェブ記事で紹介してきました。海や漁業がらみは無理してでも見ますが、時間があれば敢えて勉強のために疎いテーマのものを見ます。時間があれば試写会に行き、機会に恵まれれば監督インタビューをさせていただいています。

 

 

最近は、映画「太陽の塔」の関根光才監督インタビューや、精神病棟の長期入院を世に問う映画「オキナワへいこう!」の大西暢夫監督とお話する機会に恵まれました。

 

関根監督とその作品からは、知性や理性について考えさせられました。宇宙開発や原発など人類の能力を過信した「進歩」ばかりを讃える大阪万博に対して、表舞台で堂々と異を唱えた岡本太郎のように、祭りの場でこそ人間本来の「幸せ」を追求する姿勢が大切だと思いました。

 

 

2020年の東京五輪については、サステナブル調達の観点から前向きな取材をする機会が多いのですが、あれだけの大イベントには影の部分も当然あります。資材や人材が全国に散在する被災地の復興に回らない、巨額をかける割には現地で汗をかく医師や若者に報酬が出ない、開催自体が人の移動を含めて二酸化炭素をものすごく排出する、などなど。国連のSDGsが目指す「 誰一人取り残さない」という理念は、東京五輪ひとつを見ても容易ではありません。

 

五輪を目標に頑張っている選手たちを思うと今さら中止を叫ぶ気はしませんが、めでたいから水を差しちゃいけない、みたいな忖度報道には陥りたくないです。

 

2016年の東京五輪を目指していた頃の東京都の報道に少しだけ関わったのですが、当時からエコでリーズナブルな五輪をうたっていました。今回もその筋で誘致した割には、いざ実現したら結局お金がかかり過ぎていて、やっぱりなーという落胆があります。

 

 

素直に喜べたら最高ですし、批判的な言説を避けたい人の気持ちも分かるけれど、自分の頭で考えずに目立つものだけを信じて流されていくのは危ない。そのことは、子どもたちにも伝えています。

 

仕事を通して、不公平や矛盾に気付いてきちんと声を上げるカッコいい大人にたくさん出会えました。大西監督も、弱者と呼ばれてしまう人たちの存在に気付いた時に見て見ぬふりをせず、光を当て続けてきた人です。その思いは、映画「水になった村」のファンの私を含め、多くの人の心を動かし、大西さんの写真や映画は有志の力でどんどん全国に広がっています。

 

巨大なダムや堰は本当に必要なのだろうか(過去には必要だったとしても今後は?)。河川を極力そのまま残して森川海のつながりを断ち切らなかったら日本の水産業はここまで落ち込まなかったのではないか。そういう疑問から「水になった村」を見て、失われたもの(モノだけでなく、先人たちの知恵や技、文化や風景の累積など)の尊さに愕然としました。

 

大西さんの最新作(オキナワへいこう!)とも関係がありますが、障がいってなんだろう?その線引きは誰が決めるのだろう?ということも、細々と考え続けています。

 

この夏から秋にかけて、医療系雑誌(未掲載)で取材した睡眠医学のエキスパート・志村哲祥先生が関わっているダイアログ・イン・サイレンスダイアログ・イン・ザ・ダークを、それぞれ新宿と大阪で経験してきました。

 

聴こえない世界、見えない世界は、想像以上に豊かでした。もう他界しましたが祖父と祖母が後天的に失明していたので、特にダイアログ・イン・ザ・ダークは待望のワークショップでした。他人と触れ合わずには暮らせない闇の世界に、見える世界以上の温かさや心の潤いを感じたのは私だけではないはず。忘れられない時間になりました。

 

最近、都内やさいたま市内の駅でもホームドアが増えてきています。目が見えない方の事故を減らせそうで少し安心しました。人身事故の放送が入ると舌打ちする人がいますが、自殺願望の飛び込みや酔っ払いの転落だけでなく、障がい者の転落という防げる事故もあるわけです。私もスマホのながら歩きをしてしまいがちです。事故を招きかねないので、周囲をよく見て止まるなり座るなり、気を付けないといけません。

 

 

追記2018.10.22

やっぱり海のことに触れたい!ということで、追記します。

うまくすれば、東京五輪を機に、サステナブル調達が全国に広がるかもしれません。波及効果が大きいイベントだけに、水産分野でも多くの方々が頑張っておられます。その一人が、千葉県船橋市の網元の大野さんです。瞬〆スズキを選手村などで提供できるようにFIP(漁業改善プロジェクト)に取り組み、きちんと2020年を見定めて成果を出されました。レベルアップを怠らない理念ある漁師さんです。西友で時期によっては大野さんの海光物産のスズキが買えるようです(社名が書いてあるわけではないので是非、店員さんにおたずねを。私が前に最寄店の店頭で確認した時には、あいにく無くて買えませんでした。夏が旬のようでです)。一消費者として、応援していきたいです。