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危機との向き合い方

世界が新型コロナにおののいています。

あんな小さなウイルスに右往左往する私たちは

やはり生身のか弱い存在です。

AIやら何やらを発達させて利便性を追求しても

顕微鏡サイズの生物かどうかもはっきりしない

ウイルスによって個体数を減らされてしまう。

 

ヒトの天敵はいないと思われているけれど、

オオカミとかクマとか、そういう分かりやすい

動物ではなく、ウイルスこそ天敵なのでしょう。

 

この新型コロナ騒動にどう向き合ったら良いのか。

息子が過敏に心配していたので、

(肺の手術をしたばかりなので致し方ないのですが)

参考になるかな?と思ってプリントアウトしたのが、

ウェブで見つけた「ニュースイッチ」の記事です。 ↓

新型コロナ、自分が危険かどうかを統計学的に判断するには?

 

この記事で語っている統計家の西内啓さんは、

 

一次情報を得よ、デマに流されるな

 

ということを言っています。この「一次情報」

に接触できているかどうかが、いろいろな場面で

分かれ目になるように感じています。

 

例えば福島第一原発の事故直後。

英語の科学論文を気軽に読めて

日ごろから世界中の研究にアクセスできて、

突発的な事象にも英語の多様なニュースソース

から情報を集められる人と、

日本語でしか情報を得られず、科学に疎く、

ジャパン・クオリティのテレビ番組(皮肉です)

を受け身でしか見ていない人とでは、

対応が全く違っていたはずです。

 

当時、私の子ども2人は幼い小学生でした。

「逃げた方がいい」と電話をくれた人もいましたが、

私たち夫婦は具体的な対策はとりませんでした。

 

関東に最も放射性物質が降り注いでいた日も、

月曜から普通に始まった学校に子どもたちを

送り出しました。夫が物理学者のママ友が、

その日は娘を海外に逃がしたと後から知って

仰天しました。経済力はもちろん、知力でも

完敗!と思いました。母として反省しました。

 

実際にそういう行動をとる親は稀でしょうし、

何もなければ過剰反応とも言われるでしょう。

だけど、もし何かあったら、結果が変わります。

 

現在進行形の新型コロナも、同じだと思います。

デマに流されたり、やみくもに周囲に合わせる

のではなく、自分で判断して納得したレベルで

大切な家族を守る行動をとりたいものです。

 

しかし。先程のウェブ記事の著者は、まず

目を通すのが医学論文やWHOのサイトだと

言います。結局のところ、英語力なのです。

 

翻訳ツールも発達しているけれど、やはり

言語が大きなハードルであることは否めません。

 

海洋ジャーナリストとして私が今かなり

気にしている処理水(トリチウム入り)の

海洋放出についても、社会のカテゴリでは

医師や科学者というジャンルに属する人々が、

両極端なことを述べています。

 

 

A説とB説という対立する2つの仮説がある時、

それらの科学界での信頼度や位置付けは、

どのようになっているのか。どの程度の質の

研究成果を査読論文として発表しているのか。

何がどこまで分かっていて、何が不明なのか。

これは、多くの人には見えにくいわけです。

 

悶々としていた私に数名の方々がアドバイスを

くださいました。

 

  • 科学界の言葉を一般に分かるようにかみ砕くのは科学者自身の務め。
  • 記者は「通訳」になろうとしなくていい。しょせん専門家ではないのだし、万が一間違えて社会に伝えれば百害あって一利なし!
  • 記者にできることは、たこつぼに入りがちな(専門に偏りがちな)科学者一人に取材して伝えるのではなく、複数の専門家に話を聞いて、問題を俯瞰して自分なりに咀嚼した上で、エッセンスを正しく多くの人に伝えること。
  • 科学論文も今の時代、誰でもGoogle Scholarなどで簡単に検索できる。
  • とはいえ英語論文の読解は無理!という人は、関心のあるテーマを特集した科学雑誌あるいは専門誌の「総論」だけ読めばいい。そこには比較的バランスの取れた最新の見方がまとめられている。

 

ひとつ目については意外でした。

専門家の言葉を一生懸命に理解して誰にでも

分かるように書かなければ!と気負っていたので。

 

科学者の方が、咀嚼と拡散を含めて職務と捉えて

活動してくださるのは、本当にありがたいことです。

そこを補佐したり、拡散に協力したり、それぐらいは

私にもできるところなので頑張りたいです。

2020.3.31追記 あと、世に発表された科学研究は

あくまで過去(既知の成果)です。未知のものへの

対策を誤らないための道というかポリシー(謙虚さ、

優しさ、思いやりなど人道主義的な軸)というのは、

非科学者であっても磨ける部分です。他人の研究に

頼るばかりではなく、各自が人生を通して学び続け

次世代にも知恵を伝承していかないと、と思います。

 

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